ギャンブル依存症

ギャンブル依存症の名称

「ギャンブル依存症」という言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。

しかし厳密にいうと日本では、この名称は適切ではありません。

理由は下記にて供述しております。

日本では国営ギャンブルに三競(競馬・競輪・競艇)、そしてオートレースと宝くじがあります。

オンラインカジノは特殊なので省くとして、日本でプレイできるギャンブルは以上です。

…パチンコ・パチスロが抜けている?いえいえ、パチンコ・パチスロはギャンブルではありません。
ギャンブル等依存症

国会などで討論に使用される呼称は、「ギャンブル等依存症」です。

定義としては「ギャンブル等にのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態」とされています。

何故「等」とされているかというと、日本ではパチンコ・パチスロは法的にギャンブルと見なされていないからです。

詳細は省きますが、パチンコ・パチスロは法的にギャンブルではないから換金行為ができる、という解釈です。

ですが、一般的な認知としては、パチンコ・パチスロはギャンブルと同義です。

さらに日本では「パチンコ・パチスロ依存症」患者は、他の競馬や競輪などのギャンブル依存症患者より圧倒的に多いです。

そのような経緯があるため、国が扱う場合は「ギャンブル等依存症」という呼称を用います。
依存症の種類

依存症には3種類あります。「物質依存」「関係依存」「プロセス依存」です。

物質依存はタバコやアルコール、薬物などの依存です。他の依存症と異なり、自分が病気であると自覚しているケースが多いです。

主に口に入れるものの依存で、過食や摂食障害などもこちらにあたります。

関係依存は人間関係による依存です。恋愛依存症やセックス依存症などがこちらになります。
自覚症状があるかどうかはケースバイケースです。やめられない人間関係、といったくくりですね。

虐待・DV・宗教などもこちらに入ります。治すには、まず周りが気づいてあげることが重要となるでしょう。

プロセス依存はギャンブルやスマホ、買い物などの行為の依存です。パチンコ・パチスロなどもこちらに含まれます。

物質依存と異なり、自覚していないケースが多いです。

ある行為をする過程での刺激を求めて、大きくのめりこんでしまいます。

特にギャンブル依存症や買い物依存症は、借金をしてでもやめられない場合もあります。

家族や周囲の人間関係にまで被害が及ぶ可能性があるため、慎重に向き合う必要があるでしょう。

どの依存症も周囲の理解や協力が必要不可欠となります。

ギャンブル依存症になるリスク要因

ギャンブル依存症の決定的な要因は、実のところ分かっていません。

依存してしまう理由は当人の環境や状況によっても変わるためです。

また、確立された治療法というのもありません。

ですが、今までの研究結果からギャンブル依存症になりやすい傾向の人は分かっています。

この記事ではギャンブル依存症患者になり得るリスク要因などを考察します。

年代

ギャンブル依存症に陥る年代は35歳未満に多いとされています。

新しい刺激を求める傾向にあることと、年配層と比較して衝動的に行動するためです。

「やめたくてもやめられない」といった強迫的な依存傾向が強いです。

一方で高齢者にも多いとされています。孤独感からくる不安などから始めるケースが多いです。

また、カジノ施設が認可されている国ではシニア向けのサービスやツアーを行っているところもあります。

孤独な高齢者にとって、組織的なツアーは魅力的に感じるでしょう。

こういった取り組みも依存症患者が増えてしまう要因となっています。

性別

ギャンブル依存症患者の比率は男2:女1程度の割合です。男性に多いとされていますが、女性も少なくありません。

しかし、のめり込むスピードは女性のほうが早いと推測されています。

男性は依存症となるまでギャンブルを始めて4年程度かかるのに対し、女性は1年未満で発症するという報告もあります。

女性の場合は、より早期の治療が求められるでしょう。

健康上の問題

ギャンブル依存症患者の中には、特定の精神的な疾患や病気を持っている場合もあります。

特に躁病やうつ病などの双極性障害を持っている患者が顕著です。

躁病の場合は興奮や刺激を求め、うつ病は現実から目を背ける手段として依存してしまうケースが多いです。

精神的な病気で判断力が損なわれてしまっている状況だと、依存のリスクはより高くなります。

性格

衝動的に行動する性格の人は、依存症のリスクが高いとされています。

特に3歳の時点で「落ち着きがない」子供だった場合、そうでない子供よりも依存症のリスクが高いという研究結果があります。

家庭の問題

一卵性双生児で片方がギャンブル依存症の場合、もう片方もギャンブル依存症になる可能性が高いという報告があります。

一方で二卵性双生児の場合は、一卵性双生児よりもリスクが少ないとされています。

家庭環境的にも家族がギャンブルを日常的に行っている場合、その子供も依存症になるリスクは高くなります。

ギャンブル依存の理由は様々ですが、回復には周囲の協力が不可欠でしょう。

ギャンブル依存症の兆候

ギャンブル依存症の原因については、実のところ良くわかっていません。

厚生労働省の調査によると、日本人の4.8%がギャンブル依存症ではないかという研究結果があります。

では実際に、ギャンブル依存症の兆候を確認することは出来るのでしょうか?

ギャンブル依存症に兆候はある?

ギャンブル依存症は自分自身でも気づかないケースがあるため、周囲が兆候を判断するのは難しいところです。

しかし、どういった人間がギャンブル依存症になりやすいかというデータはあります。

この記事ではギャンブル依存に陥る兆候について考察します。

負けず嫌いの人

ギャンブル依存症になる可能性が比較的高いのは、負けず嫌いの性格の人です。

もちろん、負けず嫌いの人全てがギャンブル依存になる訳ではありません。

「何としてでも最後は勝って終わりたい」と思う人は、やめられなくなる傾向があると言えます。

趣味がなく、友達が少ない人

例えば仕事一筋で休みは特に何もしていない、といった人はギャンブルにハマる可能性が高いと言われています。

趣味が無く他の遊びを知らずにギャンブルを覚えてしまうと、それだけに依存してしまうことが多いようです。

また友人もいない場合、対人関係でお金を使うことが無いためさらに依存が加速してしまう可能性があります。

現実逃避をしたい人

人はストレスを抱えた場合、それを回避するために様々な反応を示します。

どの反応が良いか悪いかということはその状況にもよりますが、「現実逃避」をした場合にギャンブルにハマってしまう人がいます。

嫌な部分を見ずに現実に背を向ける弱さが、ギャンブルの依存につながってしまうと思われます。

最初に大勝した人

「ビギナーズラック」という言葉があるように最初に大きく勝ってしまった人は、その後ギャンブルにハマる可能性が高くなります。

ギャンブルに依存し始めて負け続きだったとしても「最初に大勝した」という記憶が残っているため、ダラダラと続けてしまいます。

楽して金儲けをしたいと考えている人

単純に努力をせずにお金儲けをしたいと考えている人も、ギャンブル依存の傾向が高いです。

最初から楽して儲けようと考えている訳ではなく、「最初に大勝した人」と同じように勝ってしまったため考えを変えた人も居ます。

実際に大きく負けていたとしても「働くよりも楽して稼ぎたい」という思いが強過ぎるため、やめられない人も居ます。

リスクの低いギャンブルと有害なギャンブル

紆余曲折がありつつもカジノ法案が進んでいますが、付いて回るのが「ギャンブル依存症」問題。

日本にはギャンブルとしてグレーゾーンの、パチンコ・パチスロ店が数多く存在します。

そしてパチンコ・パチスロ依存症患者は無視できないほど多く存在しています。

既に存在しているこの依存症問題を解決しないと、カジノ開業は先延ばしになるでしょう。

ところでギャンブル依存についてリスクの低いギャンブル、または依存性の高い有害なギャンブルはあるのでしょうか?

今回はリスクの低いギャンブルと有害なギャンブルを考えます。

ギャンブル依存になるリスクの低いギャンブルはある?

ギャンブル依存リスクの高いものは前述のとおりパチンコ・パチスロでしょう。

ならば逆にリスクの低いギャンブルはあるのでしょうか?

日本の公営ギャンブルは競馬・競輪・競艇・オートレース・宝くじがあります。

競馬・競輪・競艇・オートレースの依存のリスクは?

競馬・競輪・競艇・オートレースは「先着順を予想するギャンブル」として共通しています。

この中なら特に競馬の人気が高いですが、いずれもパチンコ・パチスロに比較すると依存度は低いでしょう。

例えばギャンブルが行える頻度です。

基本的にパチンコは365日、雨の日でも盆や正月でも関係なく毎日開店していますが、公営ギャンブルは毎日は行っていませんし雨なら中止になります。

時間が経てば経つほどギャンブルへの熱が冷める可能性も高くなります。

実際、公営ギャンブルの中毒者はパチンコ・パチスロよりも少ないです。

宝くじの依存のリスクは?

宝くじも、れっきとした公営ギャンブルです。日本で行うことが可能なギャンブルの中で、遊戯人口は最も多いです。

駅やショッピングモールの敷地内など、「宝くじ売り場」が点在しています。

パチンコ・パチスロ店と同じく基本的に毎日営業していて遊戯人口も非常に多いですが、こちらも依存のリスクは低いと思われます。

理由は還元率が非常に低いことです。

売り上げの一部を公共事業に充てているため、その分購入者への還元率が抑えられています。
競馬・競輪・競艇・オートレースの還元率が70~75%前後で、パチンコ・パチスロの還元率が90%前後といわれていますが、宝くじの還元率は40%前後です。

購入者も「当たる可能性は低い」と認識しているため、宝くじにハマる人は多くないでしょう。

まとめ

ギャンブル依存にはその人の性格なども関係するため、どのギャンブルが依存リスクが低いか高いかは一概にはいえません。

一般的に日本で遊戯可能なギャンブルで最も依存リスクが高いのは「パチンコ・パチスロ」で、最も低いのは「宝くじ」でしょう。

カウンセリングはどのように役立つか

ギャンブル依存症の治療の一環としてカウンセリングがあります。
では実際にカウンセリングでは、どのようなことをするのでしょうか?
一般的には「認知行動療法」「動機付け面接法」「薬物治療」などがあります。
この記事では、カウンセリングがどのように役立つかを説明します。

認知行動療法

自分自身の認知の歪みを矯正する治療法が「認知行動療法」です。

方法については施設や病院、その人の症状などによって様々です。

ギャンブル依存症の場合は「(実際には負けているにもかかわらず)ギャンブルは儲かる遊びだ」という認知の歪みを矯正することが主体となるでしょう。
例えば

ギャンブル依存の原因について自分の行動や問題に感じている部分を記録、評価
何故それが起こるのかの説明
治療目的の確認と実施
実施後の効果の確認と修正・改善
症状改善後、再発防止のためにどうするか

といった流れになります。
認知行動療法には薬物を使用せずに高い効果を得られるため副作用が無く、再発率も低いという大きなメリットがあります。

そのため、ギャンブル依存症などの精神的な治療には積極的に用いられています。

逆にデメリットは時間がかかること、効果が実感しにくいこと、そして保険適用外になる可能性があることが挙げられます。

動機付け面接法

こちらも認知行動療法と同じく、薬を使わずに行う治療法です。

ギャンブル依存症の治療ですが、自分の価値観や行動、考え方が今までと変わってしまうことに恐怖や不安を抱く人が居ます。

「動機付け面接法」はそのような患者のために考え出された治療法です。

治療の流れは「共感を表現する」「矛盾を拡大する」「抵抗を手玉に取る」「自己効力感を援助する」といったステップで進めます。

「共感を表現する」は、患者との間の信頼関係を構築します。
カウンセラーは、最初に患者の置かれた状況に共感して理解を示します。

「矛盾を拡大する」では患者の理想と現実とのギャップを探り、行動もしくは考え方を変えることで解決をはかります。

「抵抗を手玉に取る」では、患者の変化に対する不安などを受け入れるよう和らげます。

「自己効力感を援助する」では患者の意思を尊重し、自信が持てるように促します。

薬物治療

一口に「薬物治療」といってもギャンブル依存症全般に効く薬がある訳ではありません。

不安・衝動的・興奮など、どのような理由で依存しているかによって処方される薬は異なります。

単純な手段に思えるかもしれませんが、優れたカウンセラーなら早急に治療ができる可能性もあります。

まとめ

お気づきかと思いますが、どの治療法でも必要なのは「自助努力」です。

もちろん周囲の助けも必要ですが、「ギャンブルをやめよう」という強い意思が必要となります。

日本でギャンブル依存症の助けを得るには(連絡先と説明)

カジノ法案が進み、2022年09月現在は候補地の選定段階に入っています。

ですが日本には既に「パチンコ・パチスロ」が浸透していて、ギャンブル等依存症患者の問題があります。

ギャンブル依存症対策は、日本にカジノを建設する上で避けて通れない道でしょう。

この記事では、ギャンブル依存症に対する助けとなる組織や機関をご紹介します。

依存症対策全国センター

https://www.ncasa-japan.jp/
電話:046-848-1550(代表)

厚生労働省が運営に関わっている、依存症対策の包括的な組織です。「依存症」と名が付くもの全てに対応しています。

このサイト自体は依存症に対して相談を受け付けているサイトではなく、関連する機関や組織を紹介するサイトです。

もちろんギャンブル依存症に対しての案内もしています。

国が運営しているサイトなので関連資料なども多く、最も信頼性が高いです。

どこへ相談するか迷ったら、まずはこちらへコンタクトをとると良いでしょう。

とにかく資料が多いため、個人に合った対策方法がきっと見つかります。

ギャンブル等依存症でお困りの皆様へ(消費者庁)

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_012/
電話:03-3507-8800(代表)

ギャンブル等依存症に関連する、消費者庁のサイトです。

パチンコ・パチスロなどの依存症対策に特化しています。

こちらも国が運営しているサイトなので資料が豊富で、欲しい情報などが手に入りやすいです。

一般社団法人セレニティパークジャパン

http://spj-ag.org/
電話:0745-24-2050

横浜・奈良・名古屋・大阪・沖縄などに拠点を構える、依存症患者の本格的な更生施設です。

規則正しい共同生活を送ることで、社会復帰を目指します。通所などのプログラムもあります。

まずは電話して相談してみましょう。

債務整理の相談所

https://hibiki-law.or.jp/debt/
電話:03-6866-028

ギャンブル依存症に付いてくるのが借金問題です。

既に多額の借金をしているため、そもそも依存症対策の更生施設などに入るお金がないという人も居るでしょう。

そういった場合は先に「債務整理」「自己破産」などを行うと借金を減額、もしくは帳消しにできる可能性があります。

債務整理や自己破産は資格がなくとも個人で行えますが、手続きや必要書類を作成することが非常に煩雑なため、弁護士や司法書士に任せたほうが良いでしょう。

特に働いている方なら平日は書類を用意する時間が取れないことが多いでしょう。

「弁護士や司法書士に頼むお金がない!」という方でも大丈夫です。

今は無料相談可能な法律事務所も多く、債務整理を行うと払った額の一部が返ってくる可能性もあります。

この浮いたお金で代行費用を支払う、ということも可能です

兎にも角にも、まずは電話で相談してみましょう。

Yoshi

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